令和 7年04月18日
次にいずれかに該当した場合に、その人によって生計を維持されていた(注釈)遺族に遺族厚生年金が支給されます。
(注釈)
生計を共にしていた遺族の年間収入が850万円(又は年間所得が655万5千円)未満である場合は、生計維持関係があるものと認められます。また、年間収入が850万円以上であっても、近い将来(おおむね5年以内)に定年退職等により、恒常的収入(所得)が客観的にみて減少することが書面により確認できるときは、認められる場合があります。
1又は2の場合、保険料の納付要件を満たしていることが必要です(遺族基礎年金と同様です)。
1から3までの場合を「短期要件」、4の場合を「長期要件」といいます。
なお、4については、受給資格期間が10年に短縮される法律改正は適用されず、原則25年以上の受給資格期間が必要です。
第1順位. 配偶者と子
第2順位. 父母
第3順位. 孫
第4順位. 祖父母
基本的に、亡くなった人の死亡日時点で加入していた実施機関が取りまとめ実施機関となり、他の実施機関にかかる厚生年金被保険者期間も含めて遺族厚生年金を決定・支給します。年金額の対象となる被保険者期間は死亡日の属する月の前月までです。
なお、第1号から第4号の厚生年金被保険者期間の合計が300月(25年)未満のときは、300月とみなして計算します。
老齢厚生年金と同様に、実施機関ごとに遺族厚生年金を計算・決定し、支給します。
なお、請求書をいずれか一つの実施機関に提出することで、すべての遺族厚生年金の請求をしたことになります(ワンストップサービス)。
遺族厚生年金の額は、原則として亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例額(相当額)に4分の3を乗じて算定した額と寡婦加算等の合計額となりますが、短期要件、長期要件の違いや、遺族の年齢などにより異なります。
遺族厚生年金=A報酬比例部分+B寡婦加算額
次の本来水準ルールと従前保障ルールのそれぞれで計算した額を比較して、いずれか高い額を年金額として採用します。
計算式は次のとおりです。(ア)(イ)を合算します。
(ア)平成15年3月以前の被保険者期間
(イ)平成15年4月以降の被保険者期間
(従前保障とは、平成6年の水準で標準報酬を再評価し、年金額を計算したものです)
計算式は次のとおりです。(ア)(イ)を合算します。
(ア)平成15年3月以前の被保険者期間
(イ)平成15年4月以降の被保険者期間
(注釈1)
平均標準報酬月額は、原則として、平成15年3月以前の被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額を再評価した後の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額です。ただし、昭和61年3月以前の被保険者期間を有する場合は、平均標準報酬月額の計算方法が異なることがあります。
(注釈2)
長期要件の場合、亡くなった人の生年月日によって乗率が異なります。
(注釈3)
平均標準報酬額は、平成15年4月以降の被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額を再評価した後の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額です。
(注釈4)
従前額改定率は、従前保障ルールの計算方法において、平成6年以降の物価変動率を年金額に反映させるための率です。
なお、本来水準ルールの再評価率と、従前保障ルールの従前額改定率は、物価や賃金の変動、マクロ経済スライド等により毎年度改定されます。
次のいずれかの遺族厚生年金の受給権者で、40歳以上の妻の場合、年金額に一定額の加算(寡婦加算)が行なわれます。
なお、長期要件の場合は、一番長い期間を有する実施機関の遺族厚生年金に加算されます。
遺族基礎年金の受給権がなく、遺族厚生年金だけが支給される妻や、子が18歳到達年度の末日となって遺族基礎年金が失権した妻には、40歳(又は40歳以上で遺族基礎年金が失権したとき)から65歳になるまでの間、中高齢寡婦加算額として、623,800円(令和7年度)が加算されます。
昭和31年4月1日以前に生まれた妻については、一般的に国民年金への加入期間が短いため老齢基礎年金の額が低くなることから、妻の生年月日に応じて経過的寡婦加算額が加算されます。
上記A報酬比例部分の額とB寡婦加算額の合計と、次の計算式により計算した額を比較して、いずれか高い額を年金額として採用します。
【計算式】
上記A報酬比例部分の額とB寡婦加算額の合計の3分の2 +
自身の老齢厚生年金の額(全実施機関の老齢厚生年金を合算した額)の2分の1
一定の要件に該当した場合、遺族厚生年金に支給停止がかかることがあります。
65歳以上の人の年金については、自身の老齢厚生(退職共済)年金が優先して支給され、遺族厚生年金は老齢厚生(退職共済)年金との差額分のみ支給されます。
このしくみを、老齢給付の先充てといいます。
なお、平成19年3月31日までに遺族厚生(共済)年金の受給権が発生し、かつ昭和17年4月1日以前に生まれた人は、基本的に老齢給付又は遺族給付の、選択したいずれか一方が支給されます。ただし、配偶者が亡くなったことによる遺族厚生(共済)年金の受給権者の場合は、遺族厚生年金の3分の2と老齢厚生(退職共済)年金に2分の1の割合で併給することができます。
遺族厚生年金と同一の傷病について労働基準法の遺族補償を受けることができるときは、6年間支給停止されます。
年金部年金第一課
電話:03-3813-5321(代表)