10資産運用部年金積立金は、厚生年金等2階部分の給付の支払いに充てるための厚生年金保険給付積立金、共済年金の旧職域部分相当給付(旧3階年金)等の支払いに充てるための経過的長期給付積立金、退職等年金給付(新3階年金)の支払いに充てるための退職等年金給付積立金に区分し、それぞれの区分に応じて運用しています。また、それぞれの積立金ごとに適切に管理運用を行うため、基本ポートフォリオを含む「管理運用の方針」を定め、加入者(被保険者)の利益のため、長期的な観点から、安全かつ効率的に管理運用を行うことを目的としています。◉運用の目標(厚生年金保険給付積立金)厚生年金の給付に必要な資金を確保しつつ、長期的に実質的な運用利回り(運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)を最低限のリスクで確保する。(経過的長期給付積立金)旧職域部分等の給付に必要な資金を確保しつつ、長期的に実質的な運用利回りを最低限のリスクで確保することに加え、厚生年金保険料や退職等年金給付掛金の軽減に寄与する。(退職等年金給付積立金)制度上設定される基準利率以上の運用利回りを確保する。◉基本ポートフォリオによる投資積立金ごとに運用の目標は異なることから、それぞれ長期的観点で最適な資産配分と考える「基本ポートフォリオ」を策定しています。特に厚生年金保険給付積立金と経過的長期給付積立金については、リスク・リターン等の特性が異なる複数の資産への分散投資を基本としています。なお、基本ポートフォリオは適宜検証を行っており、必要に応じて見直すこととしています。◉資産運用検討委員会資産運用検討委員会は、私学関係者と資産運用関係の有識者で構成され、年金積立金の運用に関する管理運用の方針の策定及び変更、基本ポートフォリオの検証、管理運用状況の評価及び公表に関して意見を聞くために、定期的に開催しています。【市場環境(表1)】国内株式は、東証による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請や企業業績の改善、積極的な自社株買いなどを背景に上昇し、日経平均株価は令和6年2月にバブル期以来34年ぶりの最高値を更新し、3月には4万円を超える水準となりました。外国株式は、イスラエルとイスラム組織ハマスとの軍事衝突など地政学リスクの高まりがみられたものの、米国の景気後退は回避可能との見通しから株価は上昇し、NYダウは6年3月に史上最高値を更新しました。国内金利は、日銀がイールドカーブ・コントロールの柔軟化を7月・10月に決定し、6年3月には平成28年1月から続けていたマイナス金利政策を解除したことから、長期金利は上昇しました。米国金利は、7月のFRBの利上げ後、利下げ時期を探る状況となり、やや変動が大きい展開となりましたが、通期では上昇しました。為替(ドル、円)は、日米の金融政策の方向性の違いから円安が進展し、通期では大幅な円安となりました。運用令和5年度 年金積立金の運用状況
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