レター 2024年 冬号
2/36

日本私立学校振興・共済事業団理事長 福ふく 原はら 紀ただ 彦ひこ謹んで新年のお慶びを申し上げます。私学関係の皆々様の日頃のご尽力とご協力に敬意と感謝を表し、本年も皆々様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う活動制限が緩和されても、まだ油断できない状況は続いており、気候変動による災害、各地での紛争と国際的緊張、為替変動やエネルギー価格の急騰による経済生活環境の悪化等、生活の安全と安心を脅かす要因があとを絶ちません。さまざまな困難な事情に遭遇されておられる方々に、心からお見舞いを申し上げます。今、わが国では、少子化が急激に進行するなかで、未来を築く人材を育成し続け、将来を拓く諸科学の成果を維持・発展させるために、私学の価値をあらためて認識し、人口増加の時代に果たしてきた役割を、時代と社会の期待と要請に応えて再構築すべき時を迎えています。歴史と伝統に支えられた建学の精神のもとに、今後も私学の個性と多様性を発揮するためには、先人も経験したことのない状況のなかでも、知恵と勇気を出し合っていかなければなりません。私学事業団では、変化が激しく将来が不確実な時代であっても、助成業務と共済業務の着実な執行を通じて、私学の振興を図り、私学関係者の皆様に安心をもたらす使命を果たして参りたいと考えております。さて、昨年の共済業務を振り返りますと、①短期給付事業では、政府の医療制度改革により、出産に伴う経済的負担を軽減するため、令和5年4月以降の出産費及び家族出産費の支給額が引き上げられました。②年金等給付事業では、5年4月以降の年金額が前年度から原則2.2%(67歳以下の人)又は1.9%(68歳以上の人)引き上げられました。また、5年10月からの退職等年金給付の基準利率については、これまでの0.02%から0.07%に見直され、それに伴い年金現価率も変更されました。その他、マイナンバーを活用した地方自治体及び住民基本台帳ネットワークシステムとの情報連携により、被扶養者認定申請及び年金の請求手続きにおける住民票等の省略が可能となりました。また、給付金等の受け取りのための口座として、預貯金口座の情報をマイナンバーとともに登録しておくことにより、給付金等の申請時に通帳の写し等の添付が不要となりました。本事業団の共済事業は、被用者年金制度一元化以降、共通財源である厚生年金と、私学の独自財源である旧職域年金と退職等年金給付という、性格を異にする三つの年金積立金を管理運用するという重責を担っており、さらに、高齢化社会への対応を進めていかなければなりません。私立学校を取り巻く経営環境が変化するなかで、それらの運用環境も厳しさを増しています。しかし、年金積立金の管理運用は、長期的な観点で策定した基本ポートフォリオに基づいて行われ、運用状況については、専門的な知見から客観的な評価と助言を頂戴して、事業団としての加入者または被保険者に対する説明責任を果たして参ります。本年も、変わらぬご指導・ご協力をお願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。年頭所感私学の価値の維持・向上と役割の再構築を支えるために

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る