レター 2023年 冬号
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日本私立学校振興・共済事業団理事長 福原 紀彦謹んで新年のお慶びを申し上げます。私学関係の皆様の日頃のご尽力とご協力に敬意と感謝を表し、本年も皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。また、さまざまな困難な事情に接しておられる方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。日本の現代社会は、少子高齢化が進行するなかで、デジタル・トランスフォーメーションの名のもとで生活や活動の新しい様式が開発され、各種組織や社会構造全体が大きな変革期を迎えています。また、新型コロナウイルス感染症の蔓延、気候変動による豪雨災害、国際紛争等により、人類が大きな危機に面しています。こうした時代であればこそ、人類の持続可能性を担保する礎として、将来の社会を担う人材の育成と諸科学の振興をはかるうえで欠くことができない私学の役割と、私学の組織と活動に携わる人々の安全と生活を確保することの大切さを、今一度しっかりと認識しなければなりません。学校法人等の発展の礎となるガバナンス強化、成長分野や多子世帯に配慮した修学支援制度の充実、教職員の働き方改革、新時代の教育制度改革等において、歴史と伝統に支えられた建学の精神のもとに私学の個性と多様性を発揮しなければなりません。私学事業団では、変化が激しく将来が不確実な時代であっても、助成事業とともに共済事業を通じて、皆様に安心をもたらす使命を担っていると考えております。さて、昨年の共済業務を振り返りますと、①短期給付事業では、健康保険法等の改正により、令和4年10月から育児休業中の掛金等の免除要件が見直されました。これに伴い、育児・介護休業法の改正により新設された出生時育児休業(産後パパ育休)の期間についても、要件を満たせば掛金等の免除対象になります。②年金等給付事業では、4年4月から在職定時改定が導入され、在職中であっても毎年10月に年金額が改定されるようになりました。③福祉事業では、生活習慣病の予防による医療費削減を目的とし、4年度から40歳~74歳の被扶養者等を対象に「特定健康診査受診券(セット券)」が送付されるようになりました。本事業団の共済事業は、被用者年金制度一元化以降、共通財源である厚生年金と、私学の独自財源である旧職域年金と新3階年金という、性格を異にする三つの年金積立金を管理運用するという重責を担っています。今日、緊張感が高まる地政学リスク、為替変動とエネルギー価格高騰によるインフレの進行、内外の金融政策の動向などにより、わが国の経済社会と学校運営の環境とともに、その運用環境も厳しさを増しています。しかし、年金積立金の管理運用は、長期的な観点で策定した基本ポートフォリオに基づくものであり、一時的な運用環境の変化のみで左右されるものではありません。運用状況については、今後も専門的な知見から客観的な評価と助言をいただき、事業団としての加入者の皆様に対する説明責任を果たしてまいりたいと考えています。本年も、変わらぬご指導・ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。年頭所感人類の持続可能性を支える私学の発展のために

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