このたび、清家篤前理事長の後任として、7月1日付けにて日本私立学校振興・共済事業団の理事長に就任致しました。どうぞよろしくご交誼のほど、お願い申し上げます。 今日、新型コロナウイルス感染症の蔓延が繰り返され、気候変動や国際紛争等により、人類が大きな危機に面しています。医療や看護・介護、各種援助や復旧支援等で、献身的な御尽力を戴いている方々に対し、深甚なる敬意を表しますとともに、心から感謝申し上げます。そして、こうした時代にあってこそ、将来の社会を担う人材の育成と諸科学の発展を支える学校の機能を維持強化し、それらに携わる人々の安全と生活を確保することの大切さを、今一度しっかりと認識しなければなりません。 日本の私立学校は、建学の精神と創立の理念に支えられた個性と自立性のもとに、社会のさまざまなリソースを結集して、人類の持続的可能性を担保すべく、公教育を支えて教育に豊かさと多様性をもたらしています。私立学校を支える諸制度は、社会と時代の要請を受けて変遷を遂げ、今日、さらに適切な制度設計の課題を検討すべき時期にあります。例えば、学校法人のガバナンス改革の推進においては、不祥事防止にとどまらず、学校法人の沿革や設置する学校種・規模その他の多様性に配慮し、学校法人組織を強靱にして、学校の教育・研究・社会貢献の機能を高めることが求められています。また、DXの名のもとで生活や活動の新しい様式(New Normal)が開発され普及し、各種組織や社会構造全体が大きな変革期を迎え、AI・データサイエンスが支えるSociety5.0と称される近未来社会を見据えて、人類共通の持続的開発目標(SDGs)に向けた取組み(カーボンニュートラル、働き方改革等)や経営姿勢(パーパスと呼ばれる社会的存在意義を認識した実践)、文理融合の教育研究体制の構築や一層の修学支援等が求められています。 そうした法制度の改革と運用に併せて、日本私立学校振興・共済事業団は、私立学校の教育の充実・向上と経営の安定を図るために、補助金の交付、資金の貸付けその他私立学校教育に対する援助に必要な業務を総合的かつ効率的に行うとともに、私立学校教職員共済法の規定による共済制度を運営し、全国14,848校の62万1千人を超える加入者と33万8千人を超える被扶養者、58万6千人を超える年金受給者の方々の福利厚生の向上に努めています。未来を拓く人を育むという尊い職務に安心して従事することのできる環境を堅持して、わが国の私立学校の振興と私立学校教職員の福利厚生向上に努めて参りたいと存じております。引き続き、日本私立学校振興・共済事業団の事業活動に対しまして、温かく力強いご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、就任のご挨拶とさせていただきます。就任のごあいさつ理事長 福 原 紀 彦
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